ローン残債のある不動産でも売却は可能?ケースごとの売却方法を解説

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立石 天真

筆者 立石 天真

不動産キャリア15年

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ローン残債のある不動産でも売却は可能?ケースごとの売却方法を解説

マイホームの購入後すぐに急な転勤が発生したり、経済状況が悪化してローンを払えなくなったなどの理由で、マイホームを手放す方は珍しくありません。
このようなケースで心配になるのは、ローン残債のあるマイホームでも売却できるのかどうかという点ではないでしょうか。
そこで今回は、「ローン残債のある不動産の売却」に焦点を当て、売却方法や注意点などを解説します。

ローン残債のある不動産を売却する際に問題となる「抵当権」とは

ローン残債のある不動産を売却する際に問題となる「抵当権」とは

抵当権とは、お金を貸す代わりに、不動産を担保とする権利のことです。
マイホームの購入時に住宅ローンを利用した場合は、住宅ローンを契約した金融機関から抵当権を設定されています。
これにより、金融機関は債務者(住宅ローンを借りた方)の返済が滞った際に、抵当権を設定した不動産を競売に掛け、その代金を受け取れるようになるのです。
抵当権が設定されている不動産は、自由に売却することができません。

抵当権の確認方法

売却したい不動産の抵当権の有無や内容を確認する方法には、次のようなものがあります。

●法務局から全部事項証明書を取り寄せる
●インターネット上で登記情報を閲覧・請求できるシステムを利用する
●司法書士に依頼する


全部事項証明書や登記情報の「権利部(乙区)」を見ると、抵当権に関する情報を確認できます。
複数の不動産を所有している方や、複雑な事情がある方は、専門家に依頼すると良いでしょう。

抵当権の抹消方法

抵当権が設定されている不動産は、抵当権を抹消すると自由に売却できるようになります。
抵当権を抹消するためには、まず住宅ローンを完済しなくてはなりません。
ただし住宅ローンを完済すれば自然に抵当権が消えるわけではなく、「抵当権抹消登記」をおこなう必要があります。
抵当権抹消登記の流れは、次のとおりです。

●住宅ローンを完済する
●金融機関から抵当権抹消のための書類が届く
●必要書類を準備し、法務局に申請する
●抹消できているか確認する


抵当権抹消登記の申請から抹消の確認まで、約1~2週間かかります。
書類に不備などがあればさらに長引くおそれがあるため、住宅ローンの完済後は速やかに申請しましょう。
上記のとおり、抵当権抹消登記の必要書類は金融機関から送付されますが、登記申請書は自分で作成しなくてはなりません。
また、抵当権抹消登記には、不動産1つにつき1,000円の費用(登録免許税)が必要です。
手続きを負担に感じる方は司法書士に依頼する方法もありますが、登録免許税とは別に、司法書士への報酬として5,000円~1万円程度の費用がかかります。

ローン残債のある不動産を売却する方法

ローン残債のある不動産を売却する方法

ここまで解説したとおり、ローン残債のある不動産には抵当権が設定されています。
抵当権が設定されている不動産は売却できないため、住宅ローンを完済したのち、抵当権抹消登記をおこなわなくてはなりません。
しかしローン残債があり売却前に完済できない不動産でも、売却する方法はあります。
ローン残債の額や経済状況によって売却方法は異なるため、自分の状況に合った方法を選択することが大切です。

ケース①売買代金でローンを完済できる

ローン残債のある不動産を売却したい場合は、まずローン残債の額を確認しましょう。
売買代金とローン残債を比べたとき、売買代金のほうが多い場合は、そのお金で住宅ローンの一括返済が可能です。
このような状態を「アンダーローン」といいます。
アンダーローン状態の場合は、一般的な流れで不動産売却をおこない、決済時にローンを一括返済する方法を選択できます。
不動産売却を周囲に知られたくない方や、引っ越しをしたくない方は、「リースバック」を選択するのも良いでしょう。
リースバックとは、不動産を売却したのち、その不動産を賃貸物件として借りる仕組みのことです。
売買代金を得たうえで同じ不動産に住み続けられるため、生活環境を変えることなくローン残債を一括返済することができます。

ケース②売買代金と自己資金でローンを完済できる

売買代金とローン残債を比べたときローン残債のほうが多い状態は、「オーバーローン」といいます。
しかし売買代金だけでは完済できないものの、自己資金を足せば完済できるケースもあるでしょう。
こちらのケースは、ケース①と同様の売却方法を選択可能です。

ケース③不動産売却の目的が住み替えである

住み替えを目的とした不動産売却であり、ローン審査に通過できる経済状況にある場合は、住み替えローンを利用する方法があります。
住み替えローンとは、新居の借り入れ額に旧居のローン残債を上乗せできる住宅ローンのことです。
こちらの方法であればケース①②に該当しなくてもマイホームを売却できますが、金利が高くなるなどのデメリットもあります。

ケース④上記に該当しないが売却する必要がある

ケース①~③までに該当しないものの、事情があり急いで売却したい場合は、「任意売却」によって売却する方法もあります。
任意売却とは、金融機関に抵当権を解除してもらい、ローン残債のある不動産を売却することです。
事前に金融機関に相談し、了承を得る必要があります。
競売よりは高く売却できる可能性がある点や、売買代金をあてても完済できなかったローン残債の返済に融通が利きやすい点がメリットです。

ローン残債のある不動産を売却する際の注意点

ローン残債のある不動産を売却する際の注意点

ローン残債のある不動産であっても、状況に応じた売却方法を選択することができます。
適切な売却方法を選択したうえで、次の注意点を押さえることが大切です。

注意点①築年数も考慮する

築年数の古い建物は経年劣化などが生じて価値が下落しており、買主が見つかりにくかったり、思ったような価格で売却できなかったりするかもしれません。
一方、築年数の新しい建物は買主が見つかりやすい点がメリットですが、ローンの返済が進んでいないことが多いでしょう。
いずれにしてもオーバーローン状態になりやすいため、築年数も考慮したうえで、売却できそうな価格とローン残債をしっかりと確認する必要があります。

注意点②金融機関に相談する

不動産売却のために住宅ローンの一括返済をおこないたい場合は、住宅ローンを契約した金融機関に事前に相談すると安心です。
多くの金融機関では、住宅ローンの一括返済に手数料が発生します。
しかし手数料の金額は金融機関によって、また借り入れからの経過年数によっても異なるため注意が必要です。
さらに一括返済の手続きはスムーズに進むとは限らず、手続き完了までに1か月以上要したり、手続きのために足を運ぶ必要があったりと、手間がかかる可能性もあります。
一括返済にはいくらかかるのか、どのくらいかかるのかを確認すると、不動産売却の計画が立てやすくなるでしょう。

注意点③ローンを滞納している場合は任意売却も検討する

売買代金や自己資金をあててもローン残債を完済できず、住み替えローンも利用できないケースでは、一般的な不動産売却はできません。
このようなケースでは、住宅ローンの返済を続け、ローン残債が減ったタイミングで売却に進んでも良いでしょう。
しかしすでに住宅ローンを滞納している場合は、速やかに対応する必要があります。
住宅ローンを滞納して数か月が経つと督促が始まり、約15か月後には不動産が競売にかけられてしまうためです。
任意売却は、住宅ローンを滞納し始めてから9か月ほどの期間しか選択できません。
滞納期間が長くなりすぎると任意売却すらできなくなってしまうため、早めの決断が大切です。

まとめ

ローン残債のある不動産には抵当権が設定されており、ローンを完済して抵当権を抹消しない限りは、自由に売却はできません。
しかしローン残債の金額や経済状況によって、いくつかの売却方法を選択することが可能です。
ローン残債のある不動産を売却したい場合は、まず住宅ローンを契約した金融機関に相談することをおすすめします。


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