相続した不動産の分け方は?現物分割と代償分割と換価分割を解説
不動産のように物理的に分配がむずかしい財産は、共有者が多いとトラブルになる可能性があります。
共有者たちで財産管理の意見が一致すれば問題ありませんが、意見が割れてしまうのであればトラブルを防ぐためにも、早いうちからどのような選択肢があるか考えておくべきです。
本記事では、相続した不動産の分け方として代表的な現物分割と代償分割と換価分割について解説します。
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相続した不動産の分け方①現物分割
現物分割とは、不動産のように物理的に分割ができない財産に対しても、そのままの形で引き継ぐ方法です。
土地や建物に対して法定相続人の代表者が1人で所有権を引き継いだり、法定相続割合にあわせて分筆して共有権を持つ人たちが複数人で取得したりします。
分筆とは、共有者たちが部分的に土地の所有権を持ち登記をして、独立した不動産として所有する方法です。
分筆が認められている不動産は土地のみであり、建物に対しては適用されません。
また、土地の立地や条例などを理由に、部分的に分筆が認められないエリアもあるため、事前に確認してください。
現物分割のメリットは、手続きの簡単さと評価を巡るトラブルの少なさです。
法定相続人が民法上で決められた部分を相続するだけになるため、売却における手続きをせずに、名義変更をするだけで済みます。
以前までは、相続財産に関する名義変更は任意でしたが、2024年4月1日より義務化されているため、忘れずに名義変更の登記手続きのみはおこなってください。
また、相続財産に対して「2人であれば50%ずつ」「Aさんは不動産、Bさんは預貯金」など決めるだけで済むため、他の方法よりも相続トラブルが起こりづらいです。
しかし、不動産のように物理的に分配がむずかしい財産を取り扱う際には、公平性を保たないと話はまとまらないでしょう。
初めから決められた通りに分配すれば良い現物分割は、第三者による厳密な評価を受ける必要がなく、法定相続人が納得しやすい点が強みといえるでしょう。
現物分割のデメリットは、土地を分筆すると価値が下がるリスクと不公平感が出る可能性です。
そもそも、分筆は限られた土地のみに適用できる制度であり、建物に対してや条例によって許可されていない土地に対しては使えません。
また、土地を分筆すると、所有権のある土地の範囲が狭くなったり、道路に面する箇所が無くなったりすると、汎用性の低さが懸念されて評価が下がりやすいです。
土地の評価が下がれば、購入希望者も現れにくくなるため、売却時に不利になる可能性があります。
また、複数の相続財産があるときに種類別で所有権を引き継ぐのであれば、法定相続人の間で揉める原因になりやすいです。
たとえば、評価額1,000万円の不動産と預貯金500万円を現物相続するとなれば、不動産を相続する方のほうが得をするでしょう。
不動産のように物理的に分配がむずかしい財産や財産の種類ごとの価値に差がある場合は、不公平になって遺産分割調停や訴訟などにつながるリスクがあります。
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相続した不動産の分け方②代償分割
代償分割とは、不動産など相続財産の所有権を1人が引き継いで、残りの法定相続人に代償金を支払って解決する方法です。
たとえば、評価額3,000万円の不動産に対して、法定相続人が3人いたとします。
この場合は、1人が不動産の所有権を引き継ぐ代わりに、残りの法定相続人2人には1,000万円ずつ代償金を支払って納得してもらいます。
相続した不動産に誰も住んでいない状態であれば、売却で現金化した後に法定相続人で平等に分けた方が良いですが、誰か住むのであれば代償分割が効果的です。
法定相続人に該当する方は、比較的高齢者であるケースが多く、今住んでいる家から引っ越しをしたいと考える方は少ないです。
そのため、法定相続人の中に不動産を相続したいと考える方がいるのであれば、代償分割を使って評価額分の現金を受け取れば、全員が納得した形で相続を進められます。
代償分割のメリットは、不動産のように物理的な分配がむずかしい財産でも公平性を保てる点と手続きの簡単さです。
法定相続人全員が不動産の売却に納得していれば、全員で相続をしてから売却手続き・販売活動・引き渡しの作業に進めば良いため、大きな問題にはなりません。
ただし、法定相続人の誰かが居住用や事業用で使いたかったり、思い出の場所だからすぐに売却したくないと考えていたりするのであれば、代償分割が向いています。
時間をかけて遺産分割協議して意見がまとまらない心配がなく、法定相続人全員が納得のいく財産を受け取れるからです。
また、土地や建物をそのままの状態で代表者が取得できるため、所有権を引き継がない法定相続人も売却の手間がかからず済みます。
代償分割のデメリットは、代償金を払う資金力と贈与税や所得税の発生リスクです。
3人で引き継ぐ権利を持つ評価額3,000万円の不動産を代償分割するのであれば、所有権を引き継ぐ方は合計2,000万円分の代償金を用意しなければなりません。
つまり、代償金を支払えるだけの資金力がなければ、そもそも代償分割はできません。
また、代償分割で受け取った財産は、贈与税や所得税の対象になる可能性があるため注意が必要です。
正規の手続きで遺産分割協議に記載をしていれば課税対象にはならないため、必ず確認しておきましょう。
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相続した不動産の分け方③換価分割
換価分割とは、相続した不動産を売却してから現金化した財産を法定相続人に割合に応じて分配する方法です。
一般的に不動産のように物理的に分配がむずかしいとされる財産は、共有名義で相続しない方が良いといわれていますが、すぐに売却する予定があれば換価分割でも問題ありません。
流れとしては、不動産の所有権を引き継いだ法定相続人たちが一緒に売却活動して、売却金額から諸費用を差し引いて残った金額を分配します。
換価分割のメリットは、納税資金の準備ができる点と相続税の節税効果です。
まず、不動産のように高額な価値がつく財産を引き継いだ場合は、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告をして確定した相続税の支払いが必要です。
不動産評価額によっては数百万円単位の課税になりうるからこそ、売却してまとまった資金を調達できれば納税の負担を軽減できます。
相続税の申告期限は、相続開始を認識した日から10か月以内と決められており、経済的な理由で納税が厳しいのであれば換価分割を検討しましょう。
また、一般的に不動産評価額は時価に対して土地は8割ほど・建物は6〜7割ほどで確定するため、換価分割をすると相続税の節税効果が期待できます。
換価分割のデメリットは、売却の不確実性と諸費用の発生です。
まず、立地・構造の状態・条件などで購入希望者が現れない限りは、不動産売却の意思があっても売買取引は成立しません。
相続税の支払いのために売却を検討しているのであれば、できるだけ早く売却活動を始めるほか、最終手段として買取業者への依頼も検討しましょう。
また、購入希望者を見つけるためには、不動産会社に依頼して仲介手数料、必要に応じてリフォームやクリーニングなどの費用を支払わなければなりません。
高額な諸費用が発生して、想定していたよりも手元に残る現金が少なくなる可能性も理解しておきましょう。
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まとめ
相続で引き継いだ不動産の分け方には、現物分割・代償分割・換価分割の3つの方法があります。
もっともシンプルな方法で引き継ぐのであれば現物分割、代表者一人が引き継ぐ場合は代償分割、すぐに売却する予定であれば換価分割がおすすめです。
それぞれメリットとデメリットがあるため、法定相続人と話し合いながら納得いく方法を選びましょう。
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