不動産相続時にかかる税金とは?計算方法や税金対策についても解説

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立石 天真

筆者 立石 天真

不動産キャリア15年

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不動産相続時にかかる税金とは?計算方法や税金対策についても解説

不動産や預貯金などの財産を相続すると、その遺産に対して相続税が課されます。
とくに不動産は価値が大きくなりやすいため、「高額な相続税がかかるのでは」と不安になる方も少なくないでしょう。
そこで、不動産相続時にかかる税金の種類と計算方法、税金対策で活用したい制度などを解説します。

不動産相続時に発生する税金の種類とは

不動産相続時に発生する税金の種類とは

不動産を相続した際にかかる税金は、おもに次の2つです。

●登録免許税
●相続税


各税金の概要と納税方法について、順番に解説します。

登録免許税

登録免許税は、相続登記をする際に発生します。
相続登記とは、不動産の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人に変更する手続きです。
相続登記はこれまで任意でしたが、令和6年4月1日から義務化されています。
不動産の相続を知った日から3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料の対象となるためご注意ください。

登録免許税の計算方法

相続登記の際に必要な登録免許税は、次の計算式で求められます。
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
固定資産税評価額は1,000円未満を切り捨てて計算し、100円未満を切り捨てた金額を登録免許税として納めます。
たとえば固定資産税評価額が100万8,700円の場合、1,000円未満を切り捨てると100万8,000円です。
これを計算式に当てはめると「100万8,000円×0.4%=4,032円」となり、4,000円を登録免許税として支払うことになります。
登録免許税の納付方法
登録免許税は基本的に現金一括払いですが、オンライン申請であれば電子納付が可能です。
現金で納付する際は、金融機関で納付書を提出したあと登録免許税を支払い、領収書を受け取ります。
その領収書を登記申請書に貼り付けて、登記所に提出すれば納税は完了です。

相続税

相続税とは、被相続人から財産を受け継いだときに、その財産に対して課される税金です。
ただし、財産を相続した方全員に課税されるわけではなく、基礎控除額を上回った場合に相続税の課税対象となります。
たとえば、基礎控除額が3,600万円だった場合、遺産総額が3,600万円を下回れば相続税はかかりません。
相続税の計算方法は少々複雑なため、注意点も含めて次章でより具体的に解説します。
相続税の納税方法
相続税は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に納付する必要があります。
納付先は、金融機関や被相続人が住んでいた地域の税務署です。
ご自身で納税額を計算し、納付書を作成したうえで納税しなければなりません。
相続税は現金一括払いが原則ですが、専用のサイトを利用すればカード払いも可能です。

不動産相続時に発生する税金の1つ「相続税」の計算方法

不動産相続時に発生する税金の1つ「相続税」の計算方法

先述したように、相続税はご自身で計算して納付書を作成する必要があります。
払いすぎてしまった場合でも、税務署からの連絡はないので、不安な方は税理士に依頼することをおすすめします。
ご自身で計算できるかどうかを判断するためにも、まずは相続税の計算方法を確認しておきましょう。

①相続税の基礎控除額を計算する

相続税を求めるには、まず基礎控除額を計算しなければなりません。
基礎控除額は、以下の計算式で算出できます。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×相続人の人数)
たとえば相続人が1人であれば、基礎控除額は3,600万円、2人なら4,200万円となります。
相続人の数が多くなればなるほど、基礎控除額も高くなるのが特徴です。

②相続税の課税価格を計算する

次に、以下の計算式を使って課税遺産総額を求めましょう。
課税遺産総額=正味の遺産額-基礎控除額
正味の遺産額とは、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いたあとの金額です。
プラスの財産には不動産や預貯金、自動車など、マイナスの財産には借金や未払金、相続人が負担する葬儀費用などが含まれます。
課税遺産総額がわかったら、下記の計算式を用いて相続人それぞれの課税価格を求めます。
課税価格=課税遺産総額×法定相続分
法定相続分とは、民法に定める相続人が2人以上いる場合の各人の相続割合を言います。
相続人それぞれの法定相続分については、下記をご参照ください。

●配偶者と子ども:配偶者1/2・子ども1/2
●配偶者と直系尊属(父母・祖父母など):配偶者2/3・直系尊属1/3
●配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4・兄弟姉妹1/4
●配偶者がいない:子どもが全額相続


子どもや兄弟姉妹、直系尊属が2人以上いる場合は、配偶者以外の分を均等に分割する必要があります。

③相続税を求める

最後に、以下の計算式を用いて相続税を算出します。
相続税=課税価格×税率-控除額
税率と控除額については、下記をご参照ください。

●課税価格1,000万円以下:税率10%(控除額0円)
●課税価格3,000万円以下:税率15%(控除額50万円)
●課税価格5,000万円以下:税率20%(控除額200万円)
●課税価格1億円以下:税率30%(控除額700万円)


たとえば、課税価格が3,500万円の場合、相続税は「3,500万円×20%-200万円=500万円」となります。

不動産相続時に税金対策として利用できる制度

不動産相続時に税金対策として利用できる制度

不動産相続時には、税金対策として利用できる制度や控除が用意されています。
利用できる特例がないかを把握するために、適用条件を確認しておきましょう。

住宅資金贈与の特例

被相続人が生前にできる税金対策として、住宅資金贈与制度の特例があります。
この特例は、子や孫に住宅の購入資金として贈与をおこなった場合に、最大1,000万円まで非課税にできる制度です。
適用要件には、以下のような項目が含まれています。

●贈与の年の1月1日時点で20歳以上である
●贈与を受ける年の所得総額が2,000万円以下である
●贈与を受けた翌年の3月15日までに、贈与された資金の全額を住居の購入費に充てる


また、贈与を受けた年の翌年の12月31日までに、贈与された資金によって取得した住居に入居しておく必要があります。

配偶者控除

配偶者から相続を受ける場合は、配偶者控除を利用できないか確認しましょう。
配偶者控除とは、配偶者が相続した財産のうち1億6,000万円までが非課税となる制度です。
1億6,000万円を超えた分に関しても、配偶者の法定相続分までであれば相続税はかかりません。
主な適用要件は以下のとおりです。

●戸籍上の配偶者である
●相続税の申告期限までに遺産分割協議を完了させて申告書を提出する


事実婚のパートナーは、民法上の配偶者に該当しないため、配偶者控除は適用できません。

相次相続控除

短期間で相次いで相続が発生した場合、条件を満たせば「相次相続控除」を利用できます。
この控除は、10年以内に相次いで相続が発生した際に、前回の相続時に納付した相続税の一部を相続税から控除できる制度です。
適用要件には、以下の項目が含まれます。

●前回の相続で相続税を納めている
●今回の相続において法定相続人である
●前回の相続から10年以内に相続が発生している


遺言書により財産を遺贈された方は適用外となる点に注意しましょう。

まとめ

不動産を相続すると、相続税や登録免許税といった税金が課されます。
ただし、相続税には基礎控除が設けられており、一定の金額を超えなければ税金はかかりません。
税負担を軽減する特例や控除も複数用意されているため、利用できるものがないか事前に確認しておきましょう。


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