空き家の相続放棄とは?空き家の管理責任や相続放棄以外の手放し方も解説

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立石 天真

筆者 立石 天真

不動産キャリア15年

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空き家の相続放棄とは?空き家の管理責任や相続放棄以外の手放し方も解説

親から実家を相続した方のなかには、この先住む予定がなく処分に困る方もいらっしゃるかもしれません。
将来的に空き家を相続する予定があるならば、相続放棄やそのほかの手放し方をチェックするのがおすすめです。
そこで今回は、空き家の相続放棄とはどのようなものなのか、空き家の管理責任や相続放棄以外の手放し方を解説します。

空き家の相続放棄とは

空き家の相続放棄とは

使いみちのない空き家を相続しても、手間やお金といった負担だけが増えるリスクがあります。
そのため、空き家を相続する前に、相続放棄について考えることがおすすめです。

相続放棄の意味

相続とは、亡くなった方の資産を受け継ぐことを意味します。
また、相続放棄の意味とは、亡くなった方の資産を受け継ぐ権利の放棄です。
不動産を含む遺産相続においては、空き家となった不動産を誰が引き継ぐかが問題になることがあります。
使いみちのない空き家は相続放棄したうえで、残った預貯金や有価証券のみを相続したいと考えるかもしれませんが、空き家のみに限定した相続放棄はできません。
相続放棄する場合には、遺産のすべてに関する権利を放棄することになり、空き家のみの権利を放棄することは不可能です。
空き家の相続を迷っている方は、預貯金などそのほかの遺産も考慮したうえで、受け継ぐ資産がマイナスになる場合に相続放棄を検討するのがおすすめです。
また、相続放棄をおこなうなら、亡くなった日から3か月以内に手続きをおこなう必要があります。

空き家を相続放棄したらどうなる?

空き家を相続せずに相続放棄した場合、空き家の管理が不要になります。
相続放棄でほかの方が空き家の所有者となれば、定期的に訪問して清掃や修繕をおこなう必要はありません。
とくに、空き家から離れた場所に住んでいる方にとっては、こうした管理の手間から解放されることは相続放棄のメリットです。
また、相続放棄した場合には、空き家にかかる固定資産税の負担がなくなります。
たとえ住んでいない空き家であっても、所有し続ける限り毎年固定資産税の支払い義務が発生します。
しかし、相続放棄すればこうした金銭的な負担から解放されることがメリットです。
ただし、相続放棄したとしても次の所有者が決まらなければ本来の相続人に管理責任が残ります。
さらに、空き家の管理責任については、2023年度から新しいルールが適用されていることには注意が必要です。

相続放棄後の空き家に関する管理責任の新ルール

相続放棄後の空き家に関する管理責任の新ルール

相続放棄とは、亡くなった方の遺産を相続する権利を手放すことを意味します。
管理の手間を避けるべく相続放棄をしても、空き家の管理責任から解放されない場合があるため、新ルールについて把握することが大切です。

2023年4月1日の民法改正

相続放棄後の空き家に対する管理責任を含む相続制度の見直しがおこなわれたのは、2023年4月1日の民法改正です。
この2023年4月1日施行の民法改正における大きな目的として挙げられるのは、社会問題としても取りあげられることの多い所有者不明土地の発生予防です。
近年では相続した後に所有権の移転となる相続登記がおこなわれず、土地を利用するうえで大きな支障が発生することが珍しくありません。
そのため、民法改正で所有者不明土地の発生を抑制するルールを定めるとともに、相続財産の管理についても新たなルールが定められました。

新ルールにおける相続放棄後の空き家の管理責任

改正前の民法では、相続放棄後の空き家など不動産の管理責任について、相続放棄により相続人となった方が管理を開始するまで管理を継続することとされていました。
しかし、改正前の民法の条文において問題だったのは、管理責任の内容があいまいである点です。
この問題について、2023年4月1日に改正された民法940条では、相続放棄をおこなった方が負う管理責任について次の3点が明文化されました。

●相続放棄のときに相続財産に属する財産を事実上占有しているとき
●相続人または相続財産の清算人に当該財産を引き渡すまでの間
●自分の財産と同様に放棄した財産を保存しなければならない


改正前の民法ではこれまで自分が管理していない不動産についても管理責任が生じていましたが、これを改め事実上占有している不動産としたため負担が減りました。
また、改正前の民法では相続人全員が相続放棄した場合の管理責任があいまいだった一方で、義務が完了するタイミングを提示したことも民法改正のポイントです。
さらに、管理ではなく保存といった表現に変更された背景には、積極的な補強工事などは不要であり、必要最小限の保存行為が求められることを示しています。

空き家を相続放棄せずに手放す方法

空き家を相続放棄せずに手放す方法

空き家の相続を迷われている方のなかには、相続放棄以外に空き家を手放す方法を探されている方もいらっしゃるでしょう。
相続放棄せずに空き家を手放す方法として、売却または寄付を検討してみましょう。

空き家の売却

空き家を相続放棄せずに手放す方法として検討したいのが、空き家の売却です。
自分では使いみちのない空き家だとしても、買い手が付く見込みがあるならば、売却を考えるのがおすすめです。
空き家を売却によって手放す場合、いったん相続して相続登記を済ませたうえで、売却活動を始めます。
空き家が比較的良い状態ならば、中古の一戸建てとして買い手を探すことになります。
劣化が進み築年数が古くなった空き家の場合だと、選択できるのは古家付き土地として売却するか更地にして売却するといった方法です。

空き家を売却で手放すメリット

相続放棄ではなく売却で空き家を手放すメリットとなるのが、立地や築年数によっては高値での取引が期待できることです。
高値での売却を目指す場合には、室内の掃除や水回りのクリーニングなど、見学に訪れる方にとって魅力的な家にすることがポイントとなります。
空き家を相続放棄するか売却するかで迷ったら、売却にかかるコストと売却で得る利益を比較してみましょう。
ただし、需要の低いエリアでは売却活動を開始したものの売れ残る可能性があることや、築年数の古さを理由に値引き交渉を持ちかけられるなど、結果的に赤字となるリスクには注意が必要です。

空き家の寄付

相続放棄と売却以外に空き家を手放す手段となるのが、空き家の寄付です。
空き家を寄付で手放す場合、寄付先として検討するのは、自治体のほか法人または個人となります。
自治体へ寄付の交渉を持ちかけた場合、自治体による調査と検討を経て受け入れが決まります。
法人または個人への寄付は、隣り合う土地を所有している場合などに交渉をおこなうのが一般的です。
寄付は、金銭と引き換えに売却するのではなく無償での取引となるため、売却よりも受け入れてもらいやすい特徴があります。

空き家を寄付で手放すメリット

空き家を寄付で手放す場合、売却よりも手間がかからないことがメリットです。
売却には準備期間も含め長い時間と手間がかかりますが、寄付にはこうした手間はかかりません。
また、不要になった空き家を活用して地域貢献・社会貢献できることも、寄付で空き家を手放すメリットです。
ただし、老朽化が進んだ空き家は活用しにくく管理のコストがかかるため、寄付を断られる場合があることは注意点です。
また、個人や法人への寄付は、寄付先に贈与税や法人税のほか、不動産取得税・解体費用といった負担がかかる場合があります。

まとめ

空き家の相続放棄とは、空き家を相続せず放棄することであり、実際には空き家を含めたすべての財産を放棄することになります。
2023年4月1日の民法改正では、相続放棄後の空き家における管理の負担が減るとともに、管理責任の範囲がわかりやすくなりました。
売却・寄付といった相続放棄以外に空き家を手放す方法もチェックして、相続について考えてみてください。


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