不動産売却におけるインスペクションとは?メリットと必要になる費用も説明

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立石 天真

筆者 立石 天真

不動産キャリア15年

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不動産売却におけるインスペクションとは?メリットと必要になる費用も説明

中古物件は、新築住宅よりも購入価格を抑えられる点が魅力であり、若い方を中心にニーズがあります。
ただし、購入後に不具合の箇所がみつかる可能性があり、物件の状態によっては買主から敬遠されかねません。
この記事では、不動産におけるインスペクションとは何かのほか実施するときのメリットや必要になる費用もご説明するので、不動産を売却予定の方はお役立てください。

不動産におけるインスペクションとは

不動産におけるインスペクションとは

中古物件を購入するときには、経年劣化もあり屋根や壁の状況が不安になるかもしれません。
売買契約を結ぶ前に物件の状態を明確にしておくと、売主も買主も安心できるでしょう。

インスペクションとは

不動産の売買においては、買主に説明していない瑕疵が売却後に発覚したときには、売主は契約不適合責任を問われます。
瑕疵の内容にもよりますが、売主は買主から契約解除のほか損害賠償請求や代金の減額を請求される可能性があります。
不動産におけるインスペクションとは、不動産を売却する前に劣化の具合や欠陥の有無、修繕が必要な箇所などを調べたうえで診断するものです。
中古物件を売却する際に、売主は契約不適合責任に問われるリスクを負います。
一方、買主においても、中古物件に対して不都合な点がないか不安を持つでしょう。
不具合などを診断すると売主も買主も安心して取引できるとともに、売主にとっては買主をみつけやすくなるメリットも生まれます。
ただし、インスペクションをおこなったからといって、契約不適合責任を免れるわけではありません。
売買にあたって、トラブルの防止に向けた1つの作業と受け止めてください。

改正宅地建物取引業法にもとづく義務化

国は、空き家問題の進展などを踏まえ、既存住宅の流通が活発になるよう各種の施策を展開しています。
国土交通省は、インスペクションの普及を目指し、2013年6月に既存住宅インスペクション・ガイドラインを公表しました。
ガイドラインでは基本的な考え方のほか、具体的な検査項目や検査方法が示されており、現在の基礎になっています。
また、2018年4月に宅地建物取引業法が改正され、インスペクションに関する説明が義務化されました。
売買契約に関する重要事項説明として、インスペクションの実施の有無のほか、実施した結果の概要や設計図書などの保存状況について説明するよう追加されたものです。
義務化されたのは説明の範囲にとどまっており、実施を強制されているわけではない点に注意しましょう。

売主がおこなうケース

不動産を売却する際には、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。
売主は、査定結果を踏まえて売却を依頼する会社との間で媒介契約を結び、売り出し価格を設定します。
このときに不動産会社からインスペクションに関する説明を受けるとともに、業者を紹介されたうえで実施を判断するまでが実施前の流れです。
調査の結果、不合格の診断を受けたとしても、修繕をおこなわずに診断の結果を買主へ伝えたうえで売却しても構いません。
なお、不合格の診断を受けたにも関わらず修繕しないケースにおいては、売り出し価格を見直すべきでしょう。

買主がおこなうケース

インスペクションは、売主だけではなく、買主がおこなうケースもあります。
買主が実施したいときには、買付証明書を提示するタイミングで売主に実施を申し出るのが一般的です。
売主から承諾を得たうえで、売主と買主との間で合意書を交わしてから実施します。
診断の結果、不具合があったときには売主に修繕を依頼しましょう。
ただし、売主には修繕する義務がない点に注意しましょう。
また買主はインスペクションの実施後に購入を見送ることもできます。

種類

国土交通省のガイドラインでは、目的別に3種類の方法が示されています。
中古住宅の現況について、おもに目視調査によって劣化具合を把握するのは既存住宅現況検査と呼ばれており基本的な診断です。
既存住宅診断は、中古住宅の劣化が生じている箇所について、破壊検査などによって診断します。
既存住宅診断と同様に破壊検査をおこない、不具合の原因について詳細に把握していく診断方法は性能向上インスペクションで、リフォームを実施する前などに適しています。

不動産を売却する前にインスペクションをするメリット

不動産を売却する前にインスペクションをするメリット

インスペクションは、売主も買い手も安心して取引できる点がメリットの1つです。

売主におけるメリット

インスペクションを実施すると、物件の信頼性が高まり買主を見つけやすくなります。
また、専門家による検査の結果、売却できないほどの状態と診断される可能性もあります。
何も知らずに売却したときには契約不適合責任を問われ、大きなトラブルに発展するかもしれません。
売却後のトラブルを回避できる点は、売主にとって大きなメリットになるでしょう。
なお、不合格の診断を受けた箇所を修繕したときには、売却価格を高められるでしょう。

買主におけるメリット

購入する前に不具合な箇所を把握できる点で、修繕計画を立てやすくなります。
また、購入後に必要になるリフォームの費用を見積もったうえで、購入を検討すると良いでしょう。
なお、購入前に説明されていない不具合をみつけたときに売主に契約不適合責任を求めるとしても、面倒な手続きが必要になります。
契約を破棄するとしても、新たな引っ越し先をみつけなければなりません。
診断によって不合格と診断された箇所を修繕している物件は、契約してから大きな不具合箇所がみつかる可能性は低くなります。
安心できるとともに、余計な手続きや引っ越し作業がかからずに済む点は、買主にとってのメリットになるでしょう。

不動産売却においてインスペクションにかかる費用

不動産売却においてインスペクションにかかる費用

ここでは、インスペクションを実施する際の費用相場についてご説明します。

費用相場

診断する業者によって差がありますが、一戸建てにおける費用相場は5〜6万円程度で、詳しい検査をオプションで付けると10万円前後が必要になるでしょう。
マンションは一戸建てよりも低額で済み、4〜5万円程度が相場です。
この金額は基本料金であり、基本料金に含まれる調査箇所は、床下や天井裏などの状況について外側や点検口から目視確認する作業が一般的です。
床下や天井裏に入り込んでおこなうオプション診断を依頼するときには、1か所につき15,000円から35,000円程度の追加費用が発生します。
また、診断後に提出される報告書の作成費は費用相場に含まれていますが、簡易なものから詳細なものまで業者によって資料として整理される内容が異なります。
診断結果について詳細な整理を求めたときに、別途、費用が発生する可能性がある点に注意してください。
実施する前に、調査の範囲を確認するとともに、過去に提出した報告書を見せてもらいましょう。

見積もりにおける注意点

見積もりの金額が相場よりも安いときは注意が必要です。
インスペクションは、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士がインスペクターの役割を担います。
診断結果の信頼性はインスペクターの力量に左右され、1級建築士が適しているとは限りません。
1級建築士は、おもにショッピングモールやビルなど大きな建物の設計を手がけているケースが多くなります。
一方、2級建築士や木造建築士は、住宅を設計する機会が中心を占めています。
依頼先を選択する際には、インスペクターの資格のほか、経験年数やこれまでの実績を示してもらうと良いでしょう。

まとめ

インスペクションをおこなうと、売却物件の信頼性が高まり、売主も買主も安心して取引できるようになります。
また、売主にとっては買主をみつけやすくなるメリットもあるため、不動産を売却するときには実施をおすすめします。


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