外壁塗装をおこなわない空き家はどうなる?実施する時期や必要な理由も解説

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立石 天真

筆者 立石 天真

不動産キャリア15年

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外壁塗装をおこなわない空き家はどうなる?実施する時期や必要な理由も解説

相続などにより引き継いだ実家など、誰も居住しないで放置されている物件が多く見られます。
空き家の維持管理に費用をかけるのは無駄に思うかもしれませんが、外壁塗装をおこなわないでいると見るも無残な状況になってしまうでしょう。
この記事では、外壁塗装をおこなわない空き家がどうなるか解説するので、空き家を所有している方はお役立てください。

外壁塗装をおこなわない空き家がどうなるか

外壁塗装をおこなわない空き家がどうなるか

利用する見込みのない空き家に対しては、手入れするのに手間や費用をかけるのを無駄に感じる方が少なくありません。
しかし、建物は使用していなくても年数の経過により劣化するうえ、居住していないと劣化の進行が早くなる傾向があります。
ここでは、外壁を塗装しないで放置した住宅がどうなるか解説するので、参考にしてください。

外壁塗装の目的

近年では、マイホームの外壁塗装をおこない、イメージを一新するケースが多く見られますが、外壁塗装の主な目的は建物の保護です。
美観の改善は付随的な結果に過ぎません。
建物は使用していなくても経年劣化し、外壁は約10年で汚れや劣化が目立つようになります。
塗装の塗り替えを行わずに放置すると、住宅の損傷が進行する可能性があるでしょう。
建材は塗料によって保護され、雨水の浸透を防ぎます。
また、紫外線や雨風からのダメージを直接受けないように、表面の塗装が壁の内側を守っています。
汚れや劣化が目立つ状態は、塗料が剥がれて防水機能が低下していることを示しており、外壁塗装の目的が達成されていないサインです。

建物の劣化

外壁塗装を行わずに放置すると、雨漏りが発生し、建物の劣化が進行する可能性があります。
塗料が劣化すると雨水を弾けなくなり、壁の内部に水が侵入することで、柱や梁、床、階段、基礎などの構造体を傷めるリスクが高まります。
構造体に不具合が発生すると、塗装工事費よりも高額な修繕費用が必要になることがあるでしょう。
また、木造住宅の耐用年数は22年ですが、30年以上の住宅ローンを組んでいるケースもあります。
修繕をおこなわずに放置すると、耐用年数やローンの完済前に建物のバランスが失われ、最悪の場合には倒壊する危険性があります。

景観の悪化

塗料は急激に劣化するわけではなく、時間をかけて徐々に悪化していきます。
日常的な観察では劣化に気づきにくいため、写真を撮影して比較するなどの工夫が必要です。
塗料の状態に注意して観察すると、艶が失われてから色が変色していく様子が見られるでしょう。
そのあと、カビやコケが付着し、ひび割れが発生してしまいます。
ひび割れにより塗料が剥がれると、住宅の老朽化が目立ち、景観の悪化につながります。

売却への影響

ひび割れや塗料が剥がれた状態では、室内に雨漏りが発生し、建物の損傷が進んでいる可能性があります。
誰も居住しないなど利用の見込みがなく、売却を考える場合でも、大規模な修繕が必要になるでしょう。
建物を売却する際には、売却後に瑕疵が見つかると、売主は買主に対して契約不適合責任を負います。
損害賠償を請求されるだけでなく、契約解除の可能性もあります。
適切な管理を怠って放置している空き家の売却は、リスクを伴うため注意が必要です。

空き家の外壁を塗装する時期

空き家の外壁を塗装する時期

外壁塗装の費用は高額であり、できるだけ先延ばししたいと考えるのが一般的です。
ただし、タイミングが遅れると建物の劣化につながる点には十分に注意をするようにしましょう。

時期の目安

外壁を塗り替える時期は、使用している塗料によって異なります。
アクリル系塗料は約7年で塗膜が劣化し、シリコン系塗料は約10年で塗り替えの時期を迎えます。
フッ素樹脂系塗料は約15年ほど持ちます。
また、窒素系サイディングは8〜15年が目安となります。
塗膜は日当たりや降雨の状況によって劣化が早まることがあるでしょう。
目安にこだわらず、劣化現象を見逃さないことが重要になります。
塗料の艶の低下、色の変化、カビやコケの付着、塗膜の浮き、ひび割れ、剥がれなどを確認してください。
カビやコケが付着し始めた場合や塗膜の浮きが目立つ場合は、塗り替えを検討するのが良いでしょう。
自分で判断するのが難しい場合は、専門業者に相談することをおすすめします。

空き家に適した塗料

空き家には、光触媒塗料などの機能的塗装が適しています。
光触媒塗料は、光が当たると光触媒の機能が発揮され、汚れを分解し、雨水などで洗い流す効果があります。
耐用年数は約20年で、長期間留守にする場合に適しており、1㎡当たりの単価は3,500〜4,000円程度です。
フッ素塗料は、フライパンのコーティングのような効果で汚れが付きにくい塗膜を形成します。
耐用年数は15〜20年で、単価は3,500〜4,000円ほどです。
遮熱塗料は、紫外線による劣化を抑え、塗膜と外壁材の劣化を軽減して建物を守ります。
また、建物内部の温度差を最小限にし、湿気の排除にも役立ちます。
耐用年数は15〜20年で、単価は5,000〜5,500円程度と高めです。
ラジカル塗料は、単価が1,500〜3,500円程度と手ごろで、耐用年数も約15年と長めです。
弾性塗料は、建物のひびなどにゴムのように伸びる塗膜を作り、種類が豊富にあります。
耐用年数は8〜15年ほどで、単価は1,500〜4,500円ほどと幅があります。

空き家であっても外壁塗装が必要になる理由

空き家であっても外壁塗装が必要になる理由

ここでは、空き家であっても外壁を塗装しなければならない理由について解説します。

劣化のスピード

外壁の塗装は、建物の劣化を防ぐために適切な時期に実施する必要があります。
劣化が進むと、修繕費用が高額になり、売却時の価格にも影響を及ぼす可能性があります。
空き家は、居住している住宅に比べて劣化が早く進む傾向があるでしょう。
居住していると雨漏りなどの問題に早期に気づくことができますが、空き家では気づくのが遅れることがあります。
定期的に点検や清掃をおこなっている場合でも、作業中に雨漏りが収まっていると、問題を把握できないことがあります。
気づいたときには被害が大きくなっており、建物の構造に甚大なダメージを与えている可能性があるでしょう。
誰も住んでいない建物だからこそ、劣化のスピードを抑える対策が必要であり、外壁塗装が求められる理由の一つです。

売却価格の維持

同じ時期に建てた同じ面積の木造住宅の資産価値は等しくなりますが、売却時の価格は、劣化が進んだ空き家の方が低くなるでしょう。
誰も居住していない物件でも、適切に維持管理されている物件は、通常の価格で売却できる可能性が高まります。

固定資産税

未利用の空き家を所有すること自体は違法ではありませんが、適切な管理を怠ると、市区町村から特定空家に指定される可能性があります。
面積が200㎡までの住宅用地は固定資産税が6分の1に減額されますが、建物が特定空家に指定されると、この軽減措置を受けられなくなります。
市区町村から適切に管理していると判断されやすくするためにも、外壁の塗装を実施することが有効です。

まとめ

外壁塗装をおこなわない空き家は、雨漏りの発生などによって劣化が進む可能性が高くなります。
大規模な修繕には高額な費用がかかり、特定空家に指定されると固定資産税の軽減を受けられません。
空き家には誰も居住していないとしても、一般的な住宅同様に適切な維持管理をおこないましょう。


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