代襲相続とは?発生するケースと相続人に該当する範囲を解説
「法定相続人が先に死亡している場合は相続割合はどうなるの?」と疑問を持つ方は多いです。
一般的に用いられる機会の少ない用語ですが、該当するとなれば遺言や遺留分において変更点が生まれるため、あらかじめ理解しておくべきです。
本記事では、代襲相続とは何かお伝えしたうえで、発生するケースと該当者の範囲について解説します。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
代襲相続とは
代襲相続とは、本来は法定相続人に該当する立場の人が被相続人よりも先に亡くなった場合や、特別な事情で相続権を失っている場合に、代わって相続を受ける行為です。
近年の日本社会では、高齢化が進むと同時に、両親よりも先に子どもが事故や病気などで亡くなるケースも珍しくありません。
たとえば、父親が亡くなったケースでは法定相続人は配偶者と子どもになりますが、子どもが先に亡くなっている場合はその子ども(被相続人から見た孫)が法定相続人となります。
このように、本来の相続人の代わりに相続権を持つ状態を代襲相続と呼んでいます。
ただし、すべての法定相続人に代襲相続が発生するわけではなく、被相続人の孫・ひ孫のような直系卑属や被相続人の甥・姪などに限られるため注意が必要です。
代償相続が発生すると、遺産分割協議は複雑になりやすいため、あらかじめ以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
まず1つ目のポイントが、代襲相続人が出てきたとしても、もともとの法定相続人の相続分には変更がない点です。
たとえば、被相続人の子どもに2人の子どもがいたとしても、ほかの法定相続人の割合が減るわけではありません。
あくまで被相続人の子どもに割り振られた相続分を、その子どもたちが分配します。
続いて2つ目のポイントが、代襲相続人の続柄によって、遺留分が認められるか否かが決定される点です。
孫・ひ孫など被相続人の直系卑属に該当する場合は遺留分が認められますが、甥・姪などは遺留分は認められません。
遺留分とは、遺言があっても奪えない最低限の遺産取り分です。
基本的には被相続人の希望が遺言として効力を持ちますが、相続人の生活を保証する目的で遺留分のみは遺言書より優先順位が高いです。
そのため、本来受け取れる遺留分を下回っていた場合、法定相続人たちは遺留分侵害額請求をして取り返せます。
この申立てができるのは、被相続人の孫・ひ孫など直系卑属のみで、甥・姪は対象外です。
最後に3つ目のポイントは、遺言に記載された内容は代襲相続人には適用されないという点です。
民法では受遺者死亡による遺贈の失効について、受遺者が死亡すると遺言の効力が失効されると記載されています。
つまり、被相続人の子どもが特別な遺産を受け取る予定であったとしても、該当者が先に死亡したのであれば遺言は効力を持ちません。
すべての遺産と一緒になって法定相続人に平等に分配され、そのうちの相続分を代襲相続人が引き継ぐ流れとなります。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
代襲相続が発生するケース
代襲相続が発生する具体例として、被相続人よりも先に相続人が死亡したケース・相続人が相続欠格しているケース・相続人が相続廃除されているケースが挙げられます。
まず、もっとも多いケースとして、被相続人よりも先に相続人が亡くなっている状態で相続人の子どもが遺産を引き継ぎます。
高齢化が進む日本社会では、親よりも先に子どもが亡くなる家庭も増えており、結果的に被相続人の孫にあたる方が相続人に繰り上がる仕組みです。
続いて、相続人が何かしらの理由で相続欠格に該当する場合は、代襲相続の対象です。
相続欠格とは、被相続人もしくはほかの相続人の殺人に関わった場合や、脅迫して有利な遺言を残させた場合など悪質なケースを指します。
民法上では、「相続順位若しくは同順位の者を死亡に至らせようとして刑に処された者」「詐欺または脅迫によって被相続人が遺言の撤回・変更を妨げようとした者」などが対象者と記載されています。
一度でも相続欠格に該当した場合、被相続人の意思を問わず遺産を引き継ぐ権利は剥奪されて、2度と権利を取り戻せません。
結果的に、該当する相続人の子どもなどが代理で相続権を獲得します。
最後に、相続人が何かしらの理由で相続廃除に該当する場合は、代襲相続の対象です。
相続廃除とは、虐待や侮辱行為・被相続人に対する著しい非行(被相続人の財産の浪費や借金返済の依頼)などが該当します。
過去に被相続人が家庭裁判所に申し立てをして、相続廃除に該当する行為が認められている場合、相続人は相続権を剥奪されます。
民法上の規定として、被相続人が虐待・侮辱・非行を受けたと感じたら、家庭裁判所に廃除の請求が可能です。
ちなみに、相続廃除は遺言書に記載した内容も効力を持ちます。
ただ記載するだけでは見つからない可能性があるため、遺言執行者に廃除の請求をするように残しておかなければなりません。
遺言執行者による請求で相続人の廃除が認められれば、相続権を失効する代わりに、相続人の子どもなどが代理で遺産を引き継ぎます。
ちなみに、相続人が相続放棄をしたケースでは、子どもなどが代理で財産を引き継ぐ権利は回ってきません。
相続放棄とは、プラスの財産とマイナスの財産を含むすべての財産を引き継ぐ権利を放棄するものです。
相続放棄をした場合は、相続人としての権利そのものが執行されるため、相続がなかったとみなされ代理での引き継ぎも存在しなくなります。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
代襲相続人となる範囲
代襲相続人となる範囲として、直系卑属もしくは甥・姪が該当します。
孫やひ孫のように直系卑属に該当すれば、制限なく何代も後まで代襲相続が発生し、その状態を再代襲と呼びます。
つまり、被相続人の子ども・孫・ひ孫が全員亡くなっているのであれば、ひ孫の子どもに相続権が回る仕組みです。
被相続人が亡くなったとき、その兄弟姉妹も亡くなっているのであれば、亡くなっている兄弟姉妹(被相続人から見た甥・姪)が代襲相続します。
ただし、兄弟姉妹の場合はその子どもたちの世代までで、兄弟姉妹から見た孫の世代には引き継げません。
直系卑属に対して兄弟姉妹の関係を「傍系」と呼びますが、傍系血族は直系卑属よりも被相続人との関係性が薄いです。
そのため、傍系にあたる甥・姪への代理相続は一代のみに限られます。
直系卑属が死亡した場合と兄弟姉妹が死亡した場合では、代理で相続できる方の代に制限の違いがある点を理解しておきましょう。
ちなみに、民法で決められた相続規定では、胎児にも相続権が回ります。
胎児はすでに生まれているとみなされているため、被相続人が亡くなった時点で生まれていなくても胎児として認められていれば相続権を得ます。
ただし、死産などで胎児が亡くなった状態で生まれた場合は、相続権は認められません。
代襲相続人の相続分は、被代襲相続人と同じ割合です。
たとえば、もともとの被相続人の法定相続人が2人の場合、被代襲相続人の相続割合は1/2です。
代襲相続人が2人いる場合、被相続人の遺産の½を2人で分配するため、全遺産の¼を引き継ぐ権利があります。
つまり代理で相続する方が増えても、もともとの相続人が受け取る遺産の割合には変化がありません。
代理で相続できる人の数が増えると、頭割りの計算になるため、それぞれが受け取る遺産の割合は小さくなります。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
まとめ
被相続人よりも法定相続人が先に亡くなっている場合、代襲相続が発生するため、被相続人から見た孫・甥・姪などが代理で相続します。
ただし、孫やひ孫などの直系卑属と甥や姪などの傍系血族では、代理で相続できる範囲が限られるため注意が必要です。
相続人が生きていても失格や廃除に該当すると相続権が失効されるため、あらかじめ確認したうえで相続権が誰に回るのかを確認しましょう。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む