相続の寄与分について!適用される要件と特別寄与料も解説
財産の所有者が亡くなる前に、介護や仕事の手伝いなどをしたら、遺産を多くもらえるのでは?と気になる方は多いでしょう。
財産維持や増加に貢献した方に対して、権利を保護する法律が存在するので、該当する可能性があれば確認しましょう。
本記事では、相続の寄与分とはなにかお伝えしたうえで、適用される要件と特別寄与料を解説します。
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相続の寄与分とはなにか
寄与分とは、被相続人の生前に財産の維持や増加に貢献した者に対して、遺産分割協議で決まった割合に、貢献度に応じた割合を上乗せして相続権を持てる権利です。
寄与分の受け取り方法
権利を享受するためには、遺産分割協議中に自ら主張して、ほかの配偶者・直系血族・遺言書に記載されている方の全員から合意を得なければなりません。
1人でも主張を拒否すれば、その権利は得られないため、必ずしも受け取れるわけではない点に注意が必要です。
誰かが相続分以上を受け取るとなれば、自分の取り分が減るため、簡単には認めようとしない方たちも出てくる可能性は高いです。
主張を検討しているのであれば、遺産分割協議のタイミングでおこないましょう。
なぜなら、一般的に主張するタイミングがあとになるほど、ほかの人たちの合意が得られにくくなるといわれているからです。
貢献度が高かったにも関わらず、ほかの人たちが認めないのであれば、家庭裁判所に申し立てをして調停で解決する選択もあります。
寄与分で受け取れる金額
遺産分割協議で主張をして、認められなければ遺産分割調停を申し立てて、それでも認められなければ遺産分割裁判に移行するのが一般的な流れです。
実際に寄与分が認められて、本来受け取れる金額よりも1,000万円以上多くの財産を引き継げた方もいます。
つまり、何もしなければ1,000万円以上の財産を引き継ぐ権利を逃す可能性があるともいえるので、状況に応じて主張するようにしてください。
寄与分には明確な基準が設けられておらず、相場の算出がむずかしいですが、家庭裁判所が決定するときの計算式を目安にすると良いでしょう。
●事業従事型の場合、寄与者が受け取るべき給与額×(1-生活費控除割合)×寄与年数で算出します。
●金銭出資型の場合、贈与した額×貨幣価値変動率×裁量的割合で算出します。
●療養介護型の場合、付き添い介護人の日当額×療養介護日数×裁量的な割合で算出可能です。
●扶養型の場合、負担した扶養額×負担した期間×(1-寄与相続人の法定相続割合)で算出します。
●財産管理型の場合、管理売却手続きを第三者に委託したときの報酬額×裁量的な割合で算出可能です。
計算式をみてわかるとおり、裁量的割合が多く用いられています。
裁量的割合そのものが曖昧なので、遺産分割協議で、ほかの方たちがどれほど貢献度を認めてくれるかによって、割合には大きな違いが生じるでしょう。
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相続で寄与分が認められる要件とは
寄与分が認められる5つの要件とは、相続人である・被相続人の財産維持や増加に貢献した・特別寄与をした・無償で貢献した・一定期間貢献した経緯があることです。
寄与分が認められる5つの要件①:相続人である
1つ目は、原則相続人のみに寄与分の主張が認められます。
たとえば、親族以外の知人が事業に携わっていたり、事業資金を援助したりしたとしても、遺産を受け取る主張はできません。
一方で、配偶者・直系血族などに貢献した事実があれば、遺産の受け取り分を通常よりも多く主張しても認められる可能性があります。
寄与分が認められる5つの要件②:被相続人の財産維持や増加に貢献した
2つ目は、被相続人の財産維持や増加に貢献した事実が必要です。
よくある事例として、病院や介護施設に入居させずに24時間つきっきりで介護をした結果、医療費・介護費を大幅に抑えられた場合は維持に該当します。
ただし介護した経緯が認められるためには、証拠の提出が必要です。
日記をつけて介護記録を残したり、財産の維持・増加の因果関係がわかる資料を残しておいたりすると有利にはたらきます。
寄与分が認められる5つの要件③:特別寄与をした
3つ目は、特別な寄与をおこなった事実が必要です。
ここでいう特別な寄与は、具体的に定義づけされているわけではありません。
基本的には遺産を引き継ぐ権利のある方たちで話し合いをして、該当者の貢献を認めるか認めないかで判断されます。
親子間での日常的な手伝いや扶養義務範囲の介護などは、特別な寄与として認められない可能性が高いです。
主張するときに拒否されないためにも、財産維持・増加に貢献した証拠を残して2つ目の要件を満たせるようにしましょう。
寄与分が認められる5つの要件④:無償で貢献した
4つ目は、無償で貢献する必要があります。
事業を手伝ったときに給与が発生していたり、介護費用を受け取ったりしていた事実があると、主張が通りにくいです。
受け取り金額が少なかったとしても無償でおこなっているわけではないので、主張が認められにくいとされています。
寄与分が認められる5つの要件⑤:一定期間貢献した
5つ目は、一定の期間以上貢献している事実が必要です。
病気や怪我などの介護を一時的に手伝っただけでは、貢献度が不十分と判断される可能性があります。
ただし、ここでいう一定の期間も明確な基準があるわけではありません。
配偶者・直系血族・遺言書に記載されている方たちが判断する範囲になるため、関係性によって大きく変動します。
具体的な寄与行為として、事業従事型・金銭出資型・療養介護型・扶養型・財産管理型の5つの型があります。
基本的に寄与分請求に時効はありません。
一度遺産分割協議が成立してしまうと、内容を変更するのが不可能なので、悩んでいる場合はできるだけ早いタイミングで主張するようにしてください。
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相続の特別寄与料とはなにか
特別寄与料とは、一定の要件を満たした場合に限っては、法定相続人に該当しない親族でも寄与分を主張できる権利です。
以前までは、相続人のみが認められていた寄与分の権利ですが、現在は「原則相続人」と記載されています。
2019年7月1日に民法改正がおこなわれ、無償で療養看護やそのほかの労務を提供して財産の維持・増加に貢献した場合は、貢献度に応じた金銭を請求できるようになりました。
特別寄与料の適用要件は、無償で療養看護もしくは労務を提供した・特別の寄与がある・被相続人の財産を維持や増加させたの3点です。
特別寄与料の適用要件①:無償で療養看護もしくは労務を提供した
まず、特別寄与料の要件は貢献した内容が療養看護もしくは労務に限られます。
通常の寄与分とは異なり、金銭出資は対象外になるため注意が必要です。
同時に療養看護や労務をするときに対価を受け取っていたのであれば、少額であっても主張が認められない可能性が高いです。
必ず無償でおこなった者に対して主張するようにしてください。
特別寄与料の適用要件②:特別の寄与がある
続いて、財産の所有者と親族の関係性に基づいて、本来やるべきサポート以上の貢献があった場合に限って特別寄与料の請求ができます。
一時的な手伝いや簡単なサポートでは、貢献したと認められない可能性があります。
特別寄与料の適用要件③:被相続人の財産を維持や増加させた
最後に、親族の寄与行為が具体的に財産維持や増加に関係している事実を証明しなければなりません。
配偶者・直系血族の代わりに、つきっきりで療養看護をしたのであれば、その事実を証明できるような日記などの記録を必ず残すようにしてください。
特別寄与料の上限額は、相続開始したときの惣菜さんの価額から遺贈の価額を排除した残額以内です。
遺言書にて遺産の分配方法をすべて指定していた場合、特別寄与料の請求はできなくなります。
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まとめ
被相続人が亡くなる前に、24時間つきっきりで介護・看護をしたり、事業のサポートを無償でおこなったりした場合、その貢献が認められる可能性があります。
寄与分を主張すれば、貢献度に応じて遺産を受け取る割合を増やせるからです。
ただし、ほかの法定相続人の合意が必要になるので、必ずしも主張が通るとは限らないため、あらかじめ記録や資料を集めて準備を済ませておきましょう。
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