不動産の相続で生前に準備すべきことは?3つの対策について解説

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立石 天真

筆者 立石 天真

不動産キャリア15年

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不動産の相続で生前に準備すべきことは?3つの対策について解説

相続が発生すると、被相続人が所有していた財産は、配偶者や子など親族が引き継ぐのが一般的です。
現金や預貯金だけでなく不動産も相続の対象となる財産ですが、不動産に関しては相続発生後にトラブルが起きやすいため、あらかじめ対策を講じておくことをおすすめします。
そこで今回は、相続に関して生前に準備できることとして、争族や遺産分割協議、認知症の3つのポイントについて解説します。
不動産の相続をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産の相続に関して生前に準備できること1:争族対策

不動産の相続に関して生前に準備できること1:争族対策

「争族」という言葉に、驚かれた方も多いのではないでしょうか。
そこでまずは、「争族」とはなにか、争族を防ぐために生前に準備できることについて解説します。

争族とは

争族とは、被相続人が遺した財産の分割方法やその割合などをめぐって、親族で争いになってしまうことです。
争族は、遺産の金額に関係なく起こり得ます。
それまで仲が良かった兄弟でも、相続のことで揉めて大きなトラブルになったケースも珍しくありません。
そして、争族は長期化する傾向にあります。
したがって、争族が起きないよう、生前の準備が大切なのです。

争族対策

争族を防ぐおすすめの対策は、以下の2つです。
遺言書を作成する
相続においては、故人の希望をまず尊重することが優先されます。
したがって、被相続人が遺言書を作成している場合は、その内容どおりに手続きを進めるのが基本です。
遺言書がない場合は、相続人全員が集まって遺産の分割方法や割合などを話し合う「遺産分割協議」をおこなわなければなりません。
そして、協議した内容に相続人全員が合意すると、相続手続きに進むことができます。
しかし、相続人のうちの1人が反対したり、音信不通の方がいたりなど、遺産分割協議がスムーズに進まないことや揉め事になることも珍しくありません。
そのような事態を避けるため、生前にできる準備として、遺言書を作成しておくおことをおすすめします。
不動産を現金化する
不動産は物理的に分割することができません。
そもそも不動産を残すのか、それをだれが引き継ぐのか、不動産を含めた財産をどのように分けるのかなど、問題になりやすい財産です。
また、「実家を相続したけれど活用する予定がないため放置している」というケースも少なくありません。
空き家といえども固定資産税が課され、管理義務も発生します。
つまり、不動産を残すと、相続人に手間と費用がかかり、場合によっては相続人の大きな負担になりかねません。
遺された家族が困らないよう、不動産については売却して現金化しておきましょう。

不動産の相続に関して生前に準備できること2:節税対策

不動産の相続に関して生前に準備できること2:節税対策

遺産を相続すると、その評価額に対して相続税が課されます。
基礎控除額が設けられているため、基礎控除額内であれば相続税の支払いは不要ですが、基礎控除額を超える財産がある場合は、相続税の申告期限までに納税しなければなりません。
そこで、亡くなったあとに財産を引き継ぐのではなく、自分が元気なうちに生前贈与するという選択肢もあります。

生前贈与とは

生前贈与とは、財産を引き継いでほしい方に、生前に無償で譲ることです。
生前贈与には、暦年贈与と相続時精算課税制度による贈与の2種類があります。
暦年贈与とは、年間110万円までの贈与について非課税になる制度です。
相続時精算課税制度は、2,500万円までの贈与税が非課税になる制度で、同一の父母や祖父母からの贈与において、累計2,500万円に達するまでは何回贈与しても非課税になります。
不動産の場合は年間110万円を贈与するといっても難しいため、相続時精算課税制度を利用するのが一般的です。
ただし、贈与した方が亡くなった際には、生前贈与した財産も含めて相続税が課されます。

生前贈与のメリット・デメリット

生前贈与のメリットは、相続財産を減らすことができる点です。
相続時精算課税制度を利用した場合、相続発生時の相続税を計算する際の不動産の価格は、贈与を受けた時点の価値で計算します。
したがって、将来価格が上がった場合に節税効果があります。
また、自分が財産を引き継いでほしい方が受け取ったことを確認できるのもメリットの1つです。
デメリットとしては、不動産取得税や登記の登録免許税が、相続の際に手続きする場合よりも多くかかることです。
なお、相続と生前贈与について、どちらが節税効果の高い方法なのかを個人で計算するのは難しいため、税理士に相談しながら検討することをおすすめします。

生前贈与をしたほうが良いケース

駅に近いエリアや、開発中のエリアなど、今後も不動産の相場が上がると見込める場合は、生前贈与が向いている可能性があります。
なぜなら、先述した相続時精算課税制度を利用すると、贈与時の価値で評価されるため節税効果が高くなるからです。
また、前章で解説したような「争族」が発生する可能性が高い場合は、生前贈与で財産を減らすことも、トラブルが起こりにくくするのに有効です。

不動産の相続に関して生前に準備できること3:認知症対策

不動産の相続に関して生前に準備できること3:認知症対策

財産の管理や処分に関することは、自分で判断できる状態でおこなわなければなりません。
認知症を患い判断能力が低下すると、銀行口座が凍結され、お金を引き出せなくなります。
また、そのよな状態で契約行為などをおこなうと、無効になってしまいます。
そうなると、老人ホームに入所するために不動産を売却したいと思っても、契約を結ぶことができません。
したがって、認知症になった場合に備えて準備しておく必要があります。
認知症対策として、以下のようなことを検討してみましょう。

任意後見制度

認知症などにより、自分がおこなった行為がどのような結果をもたらすのかを判断できなくなった方を保護・支援し、その方の生活や財産を守る「成年後見制度」というものがあります。
成年後見制度には、「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類があります。
法廷後見制度とは、家庭裁判所が個別の事案に応じて成年後見人などを選任し、代理権を与える制度で、すでに認知症になってしまった場合に利用できる制度です。
任意後見制度とは、将来自分が認知症になり、判断能力が不十分になったときに備えて、代わりにしてもらいたいことを決めておく制度です。
任意後見制度では、任意後見人に代理権を与える契約を結ぶ必要があります。
つまり、判断能力が十分あるうちに、任意後見人を自分で選任できるため、自分の意思を反映させることが可能です。
ただし、家庭裁判所で手続きする必要があるため、手間と費用がかかります。

家族信託

家族信託とは、家族と信託契約を結び、財産の管理などを決めておくことです。
家族信託では、二次相続以降の資産の継承も可能です。
また、任意後見制度のように家庭裁判所での手続きをする必要がないため、手間がかかりません。
ただし、家族のなかに家族信託についての理解が不十分な方や、納得できない方がいると、トラブルになる可能性があります。
したがって、家族信託は、家族でしっかり話し合ったうえで検討することをおすすめします。

まとめ

財産の相続については、親族がトラブルになることを防ぐために、生前に準備しておく必要があります。
とくに不動産は揉め事の原因になることが多いため、売却して分割しやすくしておくことをおすすめします。
また、認知症になってしまうと不動産を売却したり銀行からお金を引き出したりすることもできなくなるため、任意後見制度や家族信託を利用して備えておくことが大切です。


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